|
子どもには天邪鬼の面があって、親が「いけない」ということを、わざとやることがあります。そうした子どものいたずらについては、マーク・トウェーンの有名な『ハックルベリー・フィンの冒険』や『トム・ソーヤの冒険』などにも生き生きと書かれていますが、親としては、正直なところ、非常に頭を痛めるところでしょう。 このように何度注意しても、いたずらをやめようとしないとき、親が最後に伝家の宝刀としてよく抜くのが、「今度やったらタダではおかない」というものでしょう。つまり、何らかの罰を与えるぞ、というわけです。
ごく基本的な社会的ルールを教えるときなど、規則として決めた罰は、脅しだけでなく、何回かに1回は断固実行する必要があります。しかし、いたずらが子どもの深い欲求に根ざしている場合、この脅しが効かなくなることがあります。 心理学に「欲求不満攻撃説」という理論がありますが、これは相手から攻撃されると、欲求不満が高まり、逆に攻撃し返そうとするようになる心理的メカニズムのことです。つまり、親から脅されて攻撃を受けた子どもは、親を攻撃するチャンスを狙うようになる、言ってもいいでしょう。 ですから、親の目が離れたスキを狙って、わざといたずらを繰り返してみたり、あるいは、そのいたずらをやめても、形を変えた別のいたずらを始めるということが往々にして起こるのです。
子どもがいたずらを繰り返すときは、根深い欲求やエネルギーの発散を求めていることが多いので、このエネルギーを発散する別の場、代わりのものを与えれば、それだけでいたずらがおさまることが非常に多いのです。 「壁に落書きするのはいけないが、新聞紙や画用紙にならいい」とか「ボール遊びは、家の近くでなく空き地でやりなさい」などと、子どもが落書きしたりボールをぶつけたいという欲求を満たす代わりのものを与えればいいのです。 この方法は、同じことでも許される場と許されない場があるという、社会性の基礎を教えられる点でも一石二鳥です。 |
|
|||||||||||||||||||||
Copyright (C)2018. 子どもの立派な育て方・しつけ方 All rights reserved. |