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人間が困難に直面したとき、それに対処する3つの態度があります。 第一は、自分で立ち向かい、自力で克服することです。 第二は、他人が解決してくれることに依存するものです。 第三は、運を天に任せて、どうにかなるだろうという態度です。 子どもを甘えっ子にしてしまうのは、むろん後者の二つでしょう。障害を乗り越えるのではなく、回避してしまい、他人に甘え、運に甘える態度だからです。
このような分類を子どもに当てはめてみると、小さな子どものほとんどが第二の他人依存タイプであることがわかります。 生まれたばかりの赤ちゃんは、もちろん親に依存しなければ生きていけない存在ですが、少しずつ自立心のある人間に成長していきます。その訓練をより効果的にするのがしつけの本来の役割です。 その意味で、親としては、つねに子どもの依存心を取り除くような心構えを持つ必要があり、また、意図的に自分で物事に立ち向かわなければならない環境に子どもを追いやる勇気も必要です。 野生の動物を観察すると、親は、自分の子がある程度成長したときに、いささか乱暴なくらいに突き放したやり方で、一人立ちさせる努力をしています。本能的な行動ではあるけれども、じつに厳しいものがあります。 ところが、人間の場合は、子どもが歩けるようになっていても、「疲れて歩けない」と言われると、ついつい子どもがかわいそうになって、オンブをしたりダッコをして助けてしまうことが多いのです。また、子どもの荷物を持ってやるのも同じことでしょう。
誰しも疲れることは避けたいと考え、できるだけ楽を望むものです。それで文明も発展してきたわけです。 しかし、電車やエレベーターが増えて便利になった現代こそ、子どもには自力で体を動かす訓練が必要なのです。 とは言っても、親の立場としては、「もう歩けない」と言う子どもを無理に歩かせるのは現実的に不可能でしょう。こんなときには、抱いてやったり荷物を持つのではなく、その場で休ませて体力が回復するのを待つのがもっともいい方法でしょう。 そうすれば、障害の回避にはつながりません。なぜなら、休むということは、自分の手で障害を乗り越えるための準備だからです。 |
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