|
父親は、現代の家庭できわめて特殊な立場にいます。 現代の父親は、「ダメおやじ」といわれるように、父権を失墜したなんとも頼りない存在に成り下がっているケースが多くあります。 ウィークデーは仕事に追われて、ろくすっぽ子どもの前に顔をみせず、たまの休日には、日ごろのつぐないに子どものご機嫌とりに忙しい父親像は、子どもの目に、妙にふがいなく「ダメおやじ」と映るのも無理からぬところかもしれません。 しかし、こうした父親の立場は、見方を変えれば、母親とは違った「しつけ」ができる可能性を秘めた立場であると言うこともできます。 母親のほうは、日ごろ子どもとべったりと鼻をつき合わせて暮らしています。それだけに、子どもが我がままな要求をしてきてもうまく拒むことができず、言いなりになってしまいがちです。自分でも気づかないうちに、甘えの構造がはびこり、手の内を見透かされて、手に負えなくなってしまっていることが多いのです。
現代のように、各家庭に平均二人くらいの子どもしかいない状況では、子どもは母親にとってしつけの対象であるより、一種の愛玩物となっている場合が少なくありません。 できるだけ衝突をなくして毎日を送ろうとするため、ついつい子どもの我がままを許してしまう結果となります。 ところが、こういうときに父親が出てきて、子どもの前に立ちふさがり、断固とした拒絶の姿勢を示せば、母親では手に負えない我がままも、ぴしゃりと抑えつけることができます。 父親は、子どもにとって、母親に比べるとたまにしか顔を見せないよそよそしい存在です。そのために甘えの構造がはびこることも少なく、子どもに対して容易に怖い大人のイメージを植え付けることができるからです。つまり、ややもするとマイナスに受け取られる父親野イメージを、逆手にとった「しつけの知恵」もありうるのです。 「男は仕事で忙しいもの、子どもは女房に任せておけばいい」などと、頭からしつけを放棄せずに、こうした実社会の荒々しい風を背負って子どもの前に立ちふさがる「嵐を呼ぶ男」に父親はなることです。 そうすれば子どもも我がままを言ったとき、父親が出てきたら、もはやどんなことがあっても、自分の要求は通らないと、考えるようになるでしょう。 |
|
|||||||||||||||||||
Copyright (C)2018. 子どもの立派な育て方・しつけ方 All rights reserved. |