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子どものよく使う言葉に、「みんなしているよ」「だれだれの家では・・・だ」というのがあります。たとえば、食卓の上にヒジをついてご飯を食べるわが子に「みっともないからやめなさい」とでも言うと、子どもは「みんなこんな食べ方をしているよ」と反駁してきたりします。 またおもちゃなどを買ってくれという要求を出してくるときも、「○○ちゃんも××くんの家でも買ってくれた。だからうちでも買って」という言い方をすることが多いはずです。
こういうロジックに対しては、「そうしていない子どももいるはずだ」「うちはうちで違う」と視野を広げてやるとともに、うちにはうちの基準があることをビシリと言ったほうがいいでしょう。 子どもがこういうことを言うのは、一種の視野狭窄に陥っているためです。おそらく客観的に見れば、していない子も大勢いるはずですが、目的に目を奪われている子どもには、それがよく見えないのです。 ノイローゼ治療の精神医学で、このロジックを打ち破るのに使われる方法があるそうです。たとえば、「みんなが憎んでいる」という思い込みには、その言葉を患者に「憎んでいる人もいる」と言い換えさせるのです。 この方法は、憎んでいるのは全員ではなく、一部分なのだと考えさせることらよって視野狭窄を抜け出させるところに眼目があります。 ところで、なぜこういうロジックが子どもから出てくるのかというと、「みんなが、そうしている」という言葉に親が弱いことを、子どもが無意識のうちに知っているからという側面があります。
親の心情というのは、いつの世にも変わらぬものらしく、どの親でも子どもが他人に引け目を感じてもらいたくないと考えるものです。そこで子どものこういうロジックに、ついついほだされて、財布のヒモをゆるめたり、甘やかしてしまうことになりがちです。 これに対して子どもは、この親の弱みを察知して、かえってそこにつけ込んでくるという戦法をとるのです。つまり、このロジックを打ち破るには、むしろ親の中にあるこの引け目をまず解消してかかる必要がありそうです。 そういう意味でも、やはり先ほどの視野を広げてやるという言い方は有効です。むしろ子どもに対して言うよりも、親が自分に向かって言うようなつもりで、「うちにはうちのやり方がある」という自信を背景にしてこの言葉を口に出せば、子どものロジックの呪縛を断ち切ることができるでしょう。 |
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