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「しつけ」というのは、子どもに対する大小さまざまな世話焼きで成り立っています。絶え間なく小さな失敗や大きな過ちを繰り返す子どもに、どう接していったらいいのでしょうか。 一般に大人たちの中には、子どもの犯した小さな過ちは見逃してもいいが、大きな過ちはすぐ叱るべきだと考えている人が多いようです。しかし、子どもの心を考えると、これはまったく逆にことが多いのです。
単純作業のミスを調べた研究によりますと、ある作業の正誤結果をすぐ知らせながら行った場合と、知らせなかった場合とでは、前者のほうが正確度がずっと高いことが見出されたといいます。知らずに間違える作業では、こうした「即時確認」の効果が著しく表れています。 これに対して、大きなミスというのは、自分でも「あれはたぶん間違えただろうな」「全然わからなかった」と気がついていることが少なくありません。だから、時間をかけてゆっくりと手立てをしたほうが、確実なのでしょう。それは、けっして付け焼刃的に対処しても意味がないのです。 しつけに関してもこれと同じことが言えます。子どもは、もちろん判断力も大人に比べればはるかに未熟であり、その行動は過ちだらけだと言ってもいいでしょう。しかし、決定的に悪いことと善いこととの区別は、大方判断できるくらいの能力は備わっています。 ところが、自分で分かっていることを他人から指摘されると、反発心が頭をもたげてくるのです。反発心とまでいかなくても、開き直りの気持ちが出てくることは少なくありません。 「もっと勉強しなさい」などと言うと、「わかってるよ、いちいちうるさい!」などという言葉が返ってくることもあります。しかも「わかっている」なら勉強するかと言えば、けっしてそうではありません。むしろ、そう言われたときに限って、ぷいと遊びに出かけたりすることのほうが多いはずです。
つまり、自分で自覚していることを親からガミガミ言われると、せっかく芽生えかけていた自省心も、頭を引っ込めてしまうのです。これでは、せっかくの注意がアダとなってしまいかねません。 子どもが大きな失敗、それは言い換えれば、その子の成長にとって重大な意味を持っている事柄がですが、それを犯したときは、その場でガミガミ怒鳴ることはやめたほうがいいのです。 それよりもまず、子どもに自分の頭でゆっくりと考えさせる時間を与えてやることです。そして、折を見て、「あの件はどうなった?」「あのときは大変だったね」などと問いかけてみるといいでしょう。子どもは内省の時間を与えられるので、自分の犯した大きな過ちをいろいろな角度から検討することが可能になり、今後の大きな糧となることは言うまでもありません。 逆に、些細な事柄は、「即時確認」の原則どおり、親が気がついたときにその場ですぐ叱ってやるようにします。小さな過ちは、子どもであるだけに圧倒的に数が多く、すぐに忘れてしまいがちだからです。 また、子どもも自分のミスにまったく気のつかないことがしばしばありますが、小さなミスの繰り返しが、やがてどんな大きなミスにつながっていかないとも限りません。あとで取り返しのつかないようなことにならないためにも、小さなミスは、その場ですぐ叱ったほうがいいのです。 |
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