|
昔も、もちろん我がままな子はいましたが、そのころの「我がまま」という言葉には、何不自由なく育った世間知らずという響きがありました。つまり、子どもの世界にも、我がままを非とする文化があったのです。 しかし、最近のように、子どもの数は一人か二人で、一人一人の子どもに親のかける時間が多くなると、たいていの子が我がままに育ちやすい環境にあると言えるでしょう。 子どもは、本来、きわめて自己中心的で我がままな存在です。たとえば赤ん坊などは、親の都合など少しもかまわず、お腹がすいたといっては泣き、おしめが濡れたといっては泣いています。 しかし、そのような赤ん坊も、自分の要求が必ずしも通るとは限らないという体験を繰り返しながら育っていくうちに、しだいに社会性が発達し、自分の我がままを引っ込めることも学習していきます。
その点、子どもに手をかける時間の増えた最近の親たちは、わが子可愛さもあって、子どもの要求は何でも通してやるように取り計らいがちです。そのため、子どもの我がままは助長される傾向にあると言ってもいいくらいです。 つまり、子どもの我がままを直すには、これまでの親子関係を根本的に洗い直してみることが必要ですが、それと同時に、子どもに自分がどれほど我がままかを客観的に認識させることも大事です。それには、心理療法ではよく行われている「ロール・プレイング」(役割演技)という手法を取り入れてみるのも一法でしょう。
「ロール・プレイング」とは、ある役割を演じさせることによって、自分自身を見つめさせることを目的としたもので、いじめっ子などの問題児が、いじめられっ子の役割を演じるだけで、その粗暴な性質が改められていったという例は数多くあります。 子どもに、この「ロール・プレイング」で自分の我がままを認識させるには、年下の子どもの世話をさせるのが、もっとも手軽な方法としておすすめできます。自分より年下の子の世話をすると、子どもはまず、自分の我がままが通らないことを発見するはずです。世話をするということは、否が応でも、相手の要求に応じなければならない面があるからです。 また、相手の我がままな面にぶつかって、我がままというものが周囲の人にどんな感じを与えるのかも、年下の子どもとの関係から学んでいくでしょう。このようなことがわかってくると、周囲の大人がヤイヤイ言わなくても、その子どもの我がままな面は、自然に少なくなってくるはずです。 |
|
|||||||||||||||||||||
Copyright (C)2018. 子どもの立派な育て方・しつけ方 All rights reserved. |