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子どもの養育でもっとも重要なのが母親の役目で、昔は、子どもが、 「きょう、学校で先生に叱られた」 といって帰ってきたら、母親は真剣に叱られた原因とか理由を問いただし、それに対する自分の考えをプラスして、子どもにいろいろと言い聞かせたものです。ですが、最近では、すぐに学校に抗議の電話をする母親が多いと聞きます。 授業参観だってそうです。 肝心要のわが子の授業態度を見学するのは、ほんの一部の人か、あるいは、始めだけであって、あとはそんなことはそっちのけです。母親同士で子どもの自慢話やら、着飾った服装のそれとない見せびらかしや、携帯電話がかかってきたら、さすがに声をひそめ、どんな相手か知りませんが話しに夢中で、なかには廊下にまで出て大きな声でペチャクチャしゃべりあう姿がアチコチで見られます。 自分で子どものしつけができないため学校に任せるなら、それはそれでいいでしょうが、そもそも子どもの態度ができていないのに、少しでも先生に注意されようものなら、すぐに、食ってかかるというのですから、話にも何もなりません。 こんなことで、母親の役目が立派に果たせるでしょうか。 母親の生来の役目は70%の愛情と30%の理性だから、父親が不在がちか、あるいは母と子だけの家庭なら、よほど冷静で賢夫人的なお母さんでないかぎり、どうしても愛情過多になるか、イライラして当たりがちになりがちです。これでは子どもの自立性に問題が出てくるのは当たり前です。 この場合、専門用語で「母慈滅子の弊を招く」といいます。 これは母親の慈愛の気持ちが過ぎると、子どもの順調な成長の妨げになるという聖人の言葉です。 子どもを滅ぼすとは穏やかでありませんが、要はお母さんがたは、よほど世の中の実情に即した広い視野に立って子どもに接しないことには、子どもの心に正義や公正に対する意識が薄れ、子どもは不満や衝動を自分で制御できなくなり、結果、 @ いじめっ子になる A 不登校になる B 性格が偏る C 内向的になる D 友達ができない など、いわゆる歪められた性質になって、母子とも悩みの絶えない日々を送らなければならなくなる公算が高いです。 最近、学校の規則や先生の教えや指導に耐えられない子どもが多いと聞くのも、みな原因はここにあります。 こんな話があります。 自分の車がコンビの駐車場に入って車が止まるか止まらないかのとたんに、コンビニの中から学生風の男が出てきて、 「いま、ボクの車のバンパーに、あんたのバンパーが当たった。弁償してくれ」 と突然に要求されたそうです。 このありもしない要求に一瞬耳を疑ったそうですが、彼は引き下がろうとしない。 ならば、それでは・・ということで警察署へ二人で行き事故係に事情を話すと、三人の警察官による立会いが始まった。三人とも怪訝な顔付きをして、接触した形跡は見当たらないという。当たっていないのだから、当たり前です。 しかし、彼は依然として引き下がらない。結局、示談で解決してほしいとの警察官の話。 さて、その晩、当の学生の母親から早速電話。 「ウチの息子に非はないのだから、弁償してほしい」と。すると今度は、父親が代わって出て、「止まっている車にお前が当たったんやから弁償するのは当たり前や」 と、ヤクザっぽい口調。聞けば、元警察官。 ふつうなら相手にも事情を聞き、そこで親は親としての判断をしそうなものですが、自分の息子の言うことは絶対に正しいとばかり脅しをかけてきたようです。 そこで、「それでは、この件は弁護士を入れる」というと、それでなんとか収まったということです。 これらの話を聞きますと、家庭内での親子の話し合いや夫婦の円満ばかりだけでなく、常識というものがどれだけ大事であるかがよくわかります。 現在、結婚している人も、あるいは近い将来結婚しようと思っている人も、このあたりのことをよく理解しておくといいでしょう。 |
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