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子どもを甘く育てるということは、言ってみれば無防備な状態のままで、そういう社会に子どもを投げ込まなければならないということです。そんな危険なことをさせるのは、それこそ、親として失格でしょう。泳ぎ方の訓練をひとつもさせないのに、嵐の海に投げ込むようなものです。 子どもには、とにかく苦労させてください。 特に、男の子には、苦労をさせられるだけ、させたほうが自分の身のためなのです。 「いいかい、大人になったとき、社会というものはものすごく厳しいぞ。今から、準備しておかないで、どうするんだ? お父さんだって、本当は、お前をずっと守ってあげたい。けど、大人になったら、もう助けてあげられないんだ。そのとき、お前にはひとりでも生き抜いてほしいから、今から苦労してほしいんだよ」 子どもの目を見て、真面目な表情でそう語りかけるのです。 母親は、子どもに甘いものですから、父親がそういう話をしていると、 「やめてくださいよ、子どもを脅かすのは」と注意してくるでしょう。しかし、こういう話は絶対に必要ですから、妻がいないところでは、こっそりと子どもさんに教えておくのがいいのです。 なぜ、子どもを脅かすのがよいかというと、「甘い期待」を抱かせないため、これって、意外に重要なのです。 もし、子どもにバラ色の人生の話ばかりしていて、現実に、そういう人生を歩めなかったとき、子どもはどう思うでしょうか? 「人生というのは、親が言うしような、甘っちょろいものじゃなかった!」 と現実に打ちのめされてしまいます。 「親はウソばっかりついていた」 と不信感を抱いてしまいます。 その点、子どものうちから、「受験は戦争だぞ」「仕事は甘くないぞ」「世間はきびしいぞ」「貯金をしておかないと、老後に困るぞ」と教えておけば、小さな子どもの心にも、覚悟のようなものができます。 そして大人になったときに、現実の厳しさに出会っても、「やっぱり、お父さんの言うとおりだった!」「お父さんの言葉は正しかった!」と感謝してくれるでしょう。 もし甘いことばかり子どもに吹き込んでいたら、楽観的になりすぎてしまって、子どもは将来に向けての準備を始めません。だから、少しくらい恐怖を与えておいたほうがいいのです。 「子どもには、明るく、ポジティブな未来を描かせましょう」と言われますが、それも程度問題です。子どもに不安や心配を与えるのがよくないかというと、そんなこともないのです。 ある心理学者は、楽観的な学生は「どうせ自分はうまくいくよ」と何の根拠もなく思い込むので、試験勉強をしないのに対して、悲観的な学生は、「やらないと単位を落としてしまう」という恐怖に駆られてしっかり準備をするので、かえって成績が高くなることもある、というデータを報告しています。 子どもが将来社会に出て困らないためには、今から何を準備しておけばよいか。 そういう心構えを叩き込んでおくことも大切なことです。 |
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