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子どもを愛している親は、子どもに厳しく接します。それが子どものためだと思っているので、厳しくできるのです。 かつてのサッカーのブラジル代表のザガロ監督は、1994年のW杯アメリカ大会で優勝に導き、つづく1998年のW杯フランス大会でもチームを準優勝に導きました。監督・コーチとして臨んだ試合は合計154試合。110勝33引き分けで、敗戦はわずか11という素晴らしい監督でした。 そのザガロ監督は、W杯期間中になると、選手たちに戒律を示して絶対に従うように、と求めたそうです。 その戒律とは、「携帯電話を使うな」「許可なくホテルから外出するな」「監督批判は厳禁」「時間厳守」といった、まるで子どもを相手にするような厳しいものでした。また、ザガロ監督は、大会前に選手全員に国歌斉唱を練習させてもいます。基本的なことができなければダメだ、という強い信念のあらわれでしょう。 ブラジルの選手というと、自由度の高い芸術的なプレーで知られていますが、規律があるからこそ強いのです。試合では、選手の裁量にまかせますが、練習と生活習慣では、ものすごく厳しいのです。だから強くなれるのです。 子どもを大事にし、よく面倒を見るのはいいでしょう。 かわいがるのも、いいでしょう。 ですが、ここから先が大事で、子どもの言いなりになる、子どもに甘い、子どもに迎合するのは、よくないのです。 会社では、上司に対して迎合するのが社会人の知恵ですから、上司やクライアントにペコペコするのは、いいでしょう。それによって出世できたり、仕事がやりやすくなるのなら、迎合するのも意味があります。 ですが、自分の子どもにまでげいごうするのはいかがなものでしょうか。会社での行動が「習い性」となってしまって、そのまま家庭に持ち込むのはいけません。子どもにまで、迎合してはダメなのです。 子どもの将来を考えれば、絶対に厳しくしていたほうがいいでしょう。 日本の自動車をはじめ、工業製品の質の高さは世界一と言われていますが、それもやっぱり厳しいルールを通ったものしか売りに出せないから、良質なのです。 子どもに厳しいルールを課すのも同じです。
子どもに何かを注意すると、さかんに理由を尋ねてきます。 「どうして大きな声で挨拶しなきゃいけないの?」 「どうして歯磨きをしなきゃいけないの?」 「どうして学校に行かなきゃいけないの?」 まったく、「どうして、どうして」ばかりで、困ってしまいます。 やさしすぎる親は、ここで考え込んでしまいます。 「なるほど、子どもの言うことはひょっとすると正しいのかもしれない」と。 しかし、ここで不安になってはいけません。 どこかおかしいよな、どこかヘンだよなと感じたことは、どんどん注意しましょう。その際には、理由なんてなくていいのです。「うるさい、それがルールだ」と一言注意すればいいのです。 人間の社会には、矛盾なんて探そうと思えばいくらでもあります。 おかしなルールだって、たくさんあります。 しかし、ルールはルールとして従わなければ、社会は成り立ちません。 そこをうまく口で説明できないからといって、子どもの言うことが正しいことにはなりません。理由はうまく説明できないけれども、「ダメなものはダメ」の論理で押し切りましょう。 子どもが、「学校なんて行く意味がない」というのなら、「それなら、お父さんだって、会社に行く意味がないから、家族みんながホームレスになるけど、それでもいいか?」とでも言っておきましょう。 子どもはピックリして、「う〜ん、しょうがないね・・。僕も学校に行くから、お父さんもきちんと会社に行きなよ」と言ってくれるのではないでしょうか。 子育ての本を読んでいると、「子どもは何かをやらせるときには、理由をきちんと説明する必要があります」などと書かれています。 たしかに理由が説明できれば、それに越したことはないのですが、いつもいつも説明できるとは限りません。そんなときでも、おかしなことはおかしいのだと注意しなければなりません。注意すべきときには注意するのをためらってはならないのです。 |
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