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とはいえ、子どもの成長が、他の子どもの成長(一般的な成長値)に劣っているからといって、何ら心配することはありません。 人間の成長は、非可逆的(「後戻りしない」という意味)な性質を持っていますから、「もう成長が止まってくれ!」と思っても、やっぱり成長してしまうように、黙っていてもぐんぐん成長していくものなのです。 男の子によっては、5歳ぐらいになっても満足に口がきけない子がいますが、そんなことは心配しなくても、もう少し大きくなったら、「少しは黙っていろ!」と怒鳴らなければならないほど、おしゃべりになっているものです。 そういえば、電池の発明で名高い物理学者のボルタも、4歳まで口がきけない子どもで両親が心配したようですが、口が遅いという男の子はけっこうたくさんいます。 ゲゼルという心理学者が行った古典的な「階段のぼり実験」というのがあります。 ゲゼルは、ある一卵性双生児の片方にだけ、生後46週から52週まで、階段のぼりの訓練をさせました。訓練をするのはまだ早い段階の、ちょっと未熟な赤ちゃんを頑張って訓練させたのです。残りの一人にはそういう訓練はさせませんでした。 訓練をさせたわけですから、そちらの赤ちゃんは階段をのぼるのが上手にできました。訓練しないほうは45秒かかったのに、26秒で階段を這いのぼることができたのです。 ここまでなら、単純に、「練習することに効果がある」という話で終わりですが、ゲゼルの実験はここからが興味深いのです。 次に、普通に赤ちゃんが会談のぼりができるくらいの時期に、もう一度テストをしました。すると先に訓練していたもう一人の赤ちゃんと、同じ速度でのぼることができたそうです。 つまり、この実験は、訓練はたしかに重要ですが、それより子どもがもともと持っている成熟性のほうが重要だ、ということを示しています。 「うちの子は、成長が遅い!」なんて嘆く必要はありません。そのうちに追いつきます。 他の子に後れをとるまいとして、先にスタートさせたほうがいいのかどうかは、疑問が残ります。 |
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