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小さな子どものうちは、とにかく厳しく、ビシビシ注意してもいいのですが、ある程度の年齢がくれば、口でやさしく言えば納得してくれます。 「子どもは褒めて伸ばすものだ」という意見がありますが、少し大切な条件が抜けています。それは、「ある程度の年齢がきたら」という条件です。 小学生の子どもを褒めまくると、図に乗るというか、調子に乗るというか、親の言うことを聞かなくなってしまう危険性がありますので、怖い顔を見せていたほうがいいのですが、子どもが中学生になる頃には、別にゲンコツやビンタをしなくても、けっこう言うことを聞いてくれるんですね。 中学生になって男の子は思春期を迎えることもあって、ひどくとっつきにくくなります。 したがって、この時期の子どもには、冗談っぽく褒めてあげたほうがいいでしょう。 息子が自分で洋服を選ぶようになってきたら、「おお、わが息子ながらハンサムだなあ〜」とか、「クラスの女の子が、お前を放っておかないだろう?」などと褒めてあげると、子どもは照れながらも、まんざらではない、という顔を見せてくれるでしょう。 勉強でもそうで、「おお、数学のテストで学年○位になったのか。すごいなあ。数学ができるヤツは、女の子にモテるんだぞ」などと褒めてあげるといいでしょう。 ワシントン大学のフランク・スモール博士は、リトルリーグのコーチの調査をしたことがあります。8人のコーチがいたのですが、そのうち4人のコーチは、とにかく褒めまくるコーチで、残る4人はそういうことをしないコーチだったのです。 その結果、褒めるコーチが教えたときのほうが、男の子は野球が好きになり、野球を楽しむようになり、自信も高まりました。 また、シーズン中の勝率も、褒めるコーチに率いられたチームでは52.2%だったのに、褒めてくれないコーチに率いられたチームの勝率は46.2%だったと言います。 ただ、子どもには厳しくすることが基本ではありますが、だからといって、絶対に褒めてはいけないわけではありません。褒めてもいいのですが、それはやはりある程度、子どもに分別がついてきてからだと思います。 小さな子どもは悪さをしますから、相対的に叱ったり、注意する回数が多くなるのは、いたし方ありません。 「子どもは褒めて伸ばすもの」という意識が強過ぎると、叱ることに対して罪悪感まで覚えてしまいますので。これはよくありません。 褒めてもいいのです。ただし、悪いことをしたら叱る、という当たり前のことができるためには、やはり子どもが中学生になるくらいまでは厳しく教えたほうがいいのではないでしょうか。
優れた学校の先生は、生徒一人一人に「自分が、他の生徒より一番かわいがられている」と思わせることができる人です。 子どもにとって、一番不愉快なのは、先生があまりにもみんなに公平にしているとわかったときです。子どもは、自分こそ一番だと思っていたいのです。 子どもは、「自分が一番かわいがられている」と思えば、その先生の言うことを聞こう、という気持になります。「他の生徒ばかりかわいがって、自分のことはあまり目をかけてくれない」とか、「どの生徒も同じようにしか扱ってくれない」と思えば、不満を感じますし、その先生の言うことを聞こうとしません。 男の子のいる親御さんは、気をつけてください。 それは「それぞれを平等に扱いすぎない」 あまりに平等に扱い過ぎると、子どもたちはみんな不満になってしまうからです。 幼児教育で有名なベンジャミン・スポック博士も、同じアドバイスをしています。子どもを公平、平等に教えようとすると、かえって全員にソッポを向かれてしまうのです。子どもは、自分が一番だと思っていたいのですから、これは当たり前といえば当たり前でしょう。 子どもたちには、上手に自分こそ親から一番愛されている、と思わせるように持っていくのが、賢い親のあり方です。 「お兄ちゃんは、やっぱりお兄ちゃんだな。責任感がある」 「お兄ちゃんは、同じ年齢のときには、ここまでうまくできなかったぞ」 というように、上手に比較を行いながら、お兄ちゃんにも、弟にも、それぞれが自信を持てるように、上手に誘導していくのです。 もちろん、他の兄弟が見ていないところで、こっそりと褒めることを忘れてはなりません。相手の見ている前で比較ばかりしていると、悪い比較をされたほうがイヤな気分になりますから。そこをうまくやるのがコツといえるでしょう。 |
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