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もし、妻が、自分の夫を丁寧に扱わず、さんざん罵倒している姿を子どもに見せていたらどうでしょう。妻の前で、小さくなって、しょんぼりしているお父さんを見て、子どもは父親を尊敬できるでしょうか。できるわけがありません。 昔の妻は、一家の長である主人に対して、枕元さえはばかって通らなかったといいます。妻は、夫に一目置いていましたし、ぞんざいな口をきいたりしませんでした。会社に出かけるときも、三つ指をつかれ、敬われて送り出してもらいました。 そんな姿を見て子どもは、「これが父親か」「これが男なのか」と胸を熱くする一方で、「自分の父親のように男にならなくては」と心に誓ったのです。 なんだか時代錯誤のような気がしますか。 たしかに、男女平等の思想が普及している現在からすると、そうなのかもしれません。 別に男女平等に反対するわけではありませんが、現在の状況は、「男女同権」が行き過ぎてしまって、「女性上位」になっているような気がしてなりません。 家族のヒエラルキー(階級)でいうと、父、母、お兄ちゃん、お姉ちゃん・・・といった順番だったのに、いつの間にか、母、子ども、ペット、最後に父親・・みたいになっています。父親の威厳なんて、どこかに吹き飛んでしまったのでしょうか。 これでは、子どもは母親の言うことは聞いても父親の言うことなんか聞きません。昔は家の中に大黒柱があって、それが倒れたら家が壊れてしまうほどの重要な柱でした。それと同じように家には中心になる父親がいないと、家の中の上下関係が明確にならず、子どもの教育だって中途半端になってしまうのです。父親がその中心にならないとダメなのです。 ですから、妻は夫の前では父を立てることが必要で、少なくとも子どもたちがいる前では、そうすべきです。 たとえば、子どもがゲームソフトを買いたいといっても、妻は「パパに聞きなさい」と言います。そう言ってくれるように、あらかじめ頼んでおくのもいいでしょう。これで子どもたちは理解するのです。「うちの家族の決定権は、父親にあるんだな」と。「父親が一番強いんだな」と。こういう細かいことが積み重なって、父親の威厳が出てくるのでしょう。 そして、大切なのは、妻は夫がいなくても、子どもの前で夫の悪口を言わないことです。夫がいつもがんばって家族のために必死で仕事をしてくれているのだと、言って聞かせるのです。 子どもたちは親の姿をよく観察しています。 お父さんが、お母さんをどれだけ頼りにしているか、お母さんがどれくらいお父さんを敬っているかをちゃんと知っているのです。そして、自分もそれを身ならおうとします。 お母さんがお父さんを大切に扱ってくれれば、自然に、子どももお父さんを大切に思ってくれるようになります。 ですから、あらかじめ奥さんに頼んで、自分を立ててもらうのが一番いいやり方なのです。もし子どもが自分をバカにしていて、これっぽっちも言うことをきかないのだとしたら、それは奥さんのあなたに対する態度や姿勢が悪いのです。 二人っきりのときは別として、せめて子どもの前では、尊敬できる父親であるかのように振る舞ってくれるよう、あらかじめ頭を下げて頼んでおくのがポイントです。 |
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