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人に迷惑をかけることは、もちろんよくありません。しかし「人に迷惑をかけるな」と言われてしつけられてしまうと、主体性のない慎重なだけの人間になりかねないでしょう。 実際、人はただ存在するだけでも他人に大なり小なりの影響を与えてしまうものです。それを気にするあまり、他人との関わりを避けるようになっては本末転倒です。 それならば「人の役に立つ人になれ」と注意をしたほうが建設的です。「誰にも迷惑をかけない人」と「誰かの役に立つ人」は、どちらも人にマイナスを与えません。 しかし後者はそれだけでなく、さらに主体性を持って周囲の人にプラスの影響を与えられるのです。背曲的に行動することによって、ときには失敗し「迷惑をかけてしまった」と思うこともあるでしょう。しかし子どもは行動を起こした数だけ経験を得て、成長できるのです。 このように、子どもを注意するときは「○○するべからず」を主軸にしないほうが効果的です。禁止する言葉は、子どもにとって、ときに反発したくなるものです。それよりも、目標が明確にできるようなポジティブな言葉で導いてあげてください。何ごとも、目標を持って行動したほうがいい結果を得られます。
子どもに対して、「親のほうが格上なのだから、子どもを従わせるのは当然」と考えてしまうのはよくありません。立場の差を利用して頭ごなしに叱りつけたり、親の主張を押しつけたりしようとすると、子どもは「何を言っても聞いてもらえない」と思い、親との会話を無駄なものと考えてしまいます。 親の価値観を一方的に押しつけるような叱り肩が当たり前になっている家庭では、親子で深い信頼関係を築くのは難しいでしょう。子どもは自分の意見を封じ込めてしまい、親に対して本気で相談しなくなってしまいます。 また、子どもは「相手の意見を冷静に聞く」という会話のテクニックを学ぶことができず、その結果、将来建設的な議論ができない、視野の狭い大人になってしまいます。 大人と子どもでは立場の違いはありますが、ひとりの人間としては平等なのです。お互いの意見を尊重できる関係でなければなりません。もちろん目上の人に対する礼儀など、守るべきマナーはありますが、「目上の人は目下の人の意見を無視してもいい」というわけではないのです。 ですから、子どもを注意するときは絶対に「理不尽な叱り方」はしないようにしましょう。こうした叱り方が当たり前になってしまうと、これから先、子どもとは絶対に分かり合うことができないでしょう。 感情に流されたりせず、冷静に対応するのが大人の役目というものです。子どもが幼い間は、頭ごなしの叱り方で恐怖を与えることで、言うことを聞かせられるかもしれません。しかし子どもが成長し、乱暴な叱り方に屈しなく鳴門、そこから先はスムーズなコミュニケーションができなくなってしまうのです。 親の言動は子どもの成長に影響を与えます。人の意見を尊重できる親に育てられた子どもは、思いやりがあり、他人の心が推し量れる一流の大人になれるでしょう。そして親子関係も、いくつになっても良好な関係を結べているはずです。
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